退屈な話
「というわけで、次には【良い自己啓発】と【悪い自己啓発】の見分けかた、と思ったけど、退屈なはなしをその前にしていおくわ。めんどくさい人は次のページに飛んじゃっていいわよ」
「・・・退屈なはなし?」
「そう、構造主義とポスト構造主義の話よ。
・・・といっても、わたしも専門的な話になるとちんぷんかんぷんだから、短く説明するだけだけど」
「めずらしく弱気ね」
「とにかく、構造主義ってのを説明しておくわね。
【Claude Gustave Levi-Strauss リーバイ・ストラウス】(ジーンズとは関係ないわよ)ていうヨーロッパの文化人類学者が、南米やオーストラリアの、部族単位で暮らしている人々の近親関係を【The Elementary Structures of Kinship】というタイトルで出版したわ。
本当は、ユダヤ系フランス人であるストラウスには、戦前の研究から戦中のニューヨークまでの逃避行までの冒険譚があるのだけれど、ここでは主題から外れるから省くわ。
この本のメインテーマというのは、これら部族での家族間の婚姻関係が、
【普通に話を聞くとものすごく入り組んでいる】
【ある一定の厳密な数学的法則に従っている】
【その法則は、部族間の緊張緩和・有効促進・相互スパイなどによって部族社会の安定化に協力している】
【それらの婚姻政策の数学的法則は、当の部族にはまったく意識されていない】
【にもかかわらず、こんな部族社会が、こんな精密な法則を持っているのはスゴイ】
とくに、この一番最後のトコロが大いに受けたわけ。目の前に見えるわやくちゃな、一見混沌とした事象の背後にむちゃくちゃ厳密な法則がある。
これは、【世界の真理】を見つけたい人々にとってはとても興奮するものだったわけよ。
ストラウスはその後、【神話】の研究をはじめて、一見無関係に見える神話の諸要素が、厳密な法則に基づいて形作られており、それらの神話群は、一定の法則を繰り返し語り継ぐものである、という説を展開したわ。
これに、神話の研究をして物語の意義や物語における英雄の役割を一定の法則の元に説明しようと試みた【Joseph Campbell ジョセフ・キャンベル】や、ロシアの民話における各要素を機会の部品のように綺麗に分析して見せた【Vladimir Propp ウラジミール・プロップ 】などの登場と、とくにジョセフ・キャンベルに影響されたジョージ・ルーカスの成功によって、小説やハリウッド映画業界は、構造主義に席巻されたといってもいいわね。
参考→【http://www.storymaking.com/】
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4845903490/249-3195112-7709968?v=glance&n=465392
そして、これらの【構造主義的】は、小説家志望者やシナリオ・ライター志望者に熱狂的に迎えられたわ。なぜなら、【語り継がれる物語=成功した物語】は【一定の部品が、一定の役割にしたがって、一定の法則の元に、一定の相互反応】を演じることによって作られる。
ということは、それらの法則を厳密に学習しさえすれば、【成功した物語】が【一定の法則】にしたがって【再現】されるというわけよ。そして、法則の学習というのは、まかりまちがっても創造的な作業ではないから、今日的な基礎教育を受けた人間には容易な作業と考えられるわね」
「あ。なんとなくつながりが見えてきた・・・」
「そう? 一方で、哲学界での構造主義そのものは、ポスト構造主義の世代に移っていったわ。これらは、反構造主義・新構造主義など百花繚乱の感じで、一概には言えないけれど・・・ひとつの比喩的な、映画を通したポスト構造主義の見方というものを紹介するわ」- 【このカテゴリーの記事一覧】
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